名刺を「ただの印刷物」名刺交換を「連絡先交換」だと軽視してはいけません。
自分の名刺は「自分自身の分身」相手の名刺は「相手そのもの」と言われています。
そのため、相手に名刺を渡す時の扱いは勿論、相手の名刺の取り扱いにも細心の注意を払わなくてはいけません。
そして、たった30秒にも満たないその作業で、あなたの第一印象は左右されるのです。
細かいルールがたくさんある名刺交換ですが、一度覚えてしまえば難しい事はありません。
この記事では、名刺交換における方法と重要なポイントを分かりやすくまとめました。
基本的な名刺交換の方法
まずは基本の名刺交換の方法を説明します。
しかし名刺交換のシチュエーションにはあまりイレギュラーがありませんので、この基本形を理解していれば問題ありません。
文字にすると難しいように感じますが、実際に体で覚えてしまえば簡単な動きばかりです。
きちんと正しい名刺交換の流れを身につけ、どんなに緊張しても自信を持って名刺交換をしましょう。
それにより、あなたの印象は大きく変わります。自信に満ちた頼り甲斐のある人であると思ってもらえるのです。
名刺交換の準備
まず、名刺は在庫を切らさないようにします。
名刺入れごと忘れてしまうケースも多いので気を付けましょう。
汚れた名刺や折れた名刺は使いません。必ず綺麗な状態で管理します。
訪問先で相手を待っている間に、スマートに名刺を取り出せるように名刺入れを手元に用意しておきます。
急な名刺交換の場合にも名刺入れがすぐに取り出せるように、男性の場合はスーツの胸ポケット、女性の場合はバッグの取り出しやすい位置に入れるのがベスト。
スボンのポケットには絶対に入れてはいけません。名刺が曲がってしまいますし、自分の尻に敷いたものを相手に渡すのは大変失礼です。
名刺の渡し方
座って相手を待っていた場合、相手が現れたらすぐに立ち上がり挨拶をします。
名刺を相手の読める向きにし、両手で持ちます。
名刺入れを名刺の下に座布団のように敷きます。
名刺を両手で差し出し、相手の胸のあたりに差し出します。
注意事項)
この際に自分の指で自分の名刺の名前や会社名・ロゴを隠さないように気をつけます。
相手が障害物やテーブルの向こうにいる場合は、自分が相手側に回り込みます。
障害物やテーブル越しの名刺交換は失礼になりますので気をつけましょう。
名刺交換は必ず立った状態で行います。座っている場合は立ち上がります。
名刺を渡す時の言葉
名刺を差し出した時に「株式会社◯◯営業部の○○◯◯と申します」とはっきりとした発音で伝えます。
注意事項)
会社名などは略しません。名前はフルネームで伝えます。
名刺の受け取り方
相手の名刺を両手で受け取ります。
受け取った時も相手の名刺を胸の高さより下に下ろさないようにします。
もし、自分の名刺を用意する前に相手から名刺を受け取ってしまった場合も慌てません。
まずは丁寧に相手の名刺を受け取ってから「申し遅れました」または「ご挨拶が遅れて申し訳ございません」と一言添えて自分の名刺を用意します。
注意事項)
この際に自分の指で相手の名刺の名前や会社名・ロゴを隠さないように気をつけます。
名刺を受け取る時の言葉
名刺を受け取りながら「ちょうだいします。よろしくお願いいたします」と伝えます。
名刺を受け取った後に「◯◯様ですね、よろしくお願いいたします」と相手の名前を確認しながら挨拶をします。
相手と同時に名刺交換をする時
お互いに名刺を同時に交換する場合。
右手で自分の名刺を差し出し、左手で相手の名刺を受け取り、すぐにその相手の名刺に右手を添えて両手で持ちます。
名刺入れは座布団のように相手の名刺の下に敷きます。
注意事項)
通常の名刺交換同様、極力自分の指で自分と相手の名刺の名前や会社名・ロゴを隠さないように気をつけます。
また、相手が先に名刺を差し出している場合は、相手の名刺の位置よりも低い位置に自分の名刺を差し出します。
正しい名刺交換の順番
名刺交換は常に1対1で行われるとは限りません。
相手が複数である場合も多々あります。その場合には名刺交換の順番を配慮しなくては相手に失礼に当たります。
基本的に名刺交換は目下の人から目上の人へ差し出すのが原則です。
しかし、状況によっては分かりにくい場合がありますので、説明させていただきます。
1対1
目下の人から目上の人に名刺を差し出します。
会社間の目上・目下とは年齢や社会的地位は関係なく
お金を出す側(発注側)が目上
お金を貰う側(受注側)が目下
となります。
つまり、営業活動をする際には常に自分が目下という事です。
営業以外であれば
訪問先が目上
訪問者が目下
という考え方で良いです。
複数人対複数人
複数で営業先に訪問をする場合を仮定します。
自社:自分・課長・部長
訪問先:担当者・課長・部長
名刺交換は目上の人から始めるルールがあります。
この6名で名刺交換を行う場合は
1番
訪問先の部長と自社の部長
2番
訪問先の部長と自社の課長
訪問先の課長と自社の部長
3番
訪問先の部長と自分
訪問先の課長と自社の課長
訪問先の担当者と自社の部長
4番
訪問先の課長と自分
訪問先の担当者と自社の課長
5番
訪問先の担当者と自分
こちらが正しい順番です。
人数が増えてもこの順番は変わりません。
難しいかと思われるかもしれませんが「偉い人から順番に渡す」と覚えれば良いのです。
しかし、実際の状況では目上の人が先に名刺を差し出したり等マニュアル通りには行きません。
ルール通りにとガチガチにならず、相手に失礼のないよう臨機応変に対応しましょう。
名刺交換後の名刺の扱い
名刺交換を終えても、受け取った名刺はすぐにしまってはいけません。
状況によって対応が変わりますが、すぐにしまわないというルールは一緒です。
シチュエーション別の名刺交換後の対応を説明します。
立ち話で終わる場合の名刺の扱い
立ち話のみで名刺交換が終わる場合、話をしている間は自分の名刺入れの上に持っておきます。
会話の最中にはしまいません。
テーブルのある場所での名刺の扱い
名刺交換後にテーブルのある応接室や会議室で話をする機会は多いと思います。
その場合は、いただいた名刺は自分の左斜め前に置きます。
左斜め前は通常お茶が右奥に出される為です。
しかし着席の配置やお茶の配置等、その場の状況により邪魔にならない位置を選びましょう。
1対1の場合は直接テーブルに置かず、自分の名刺入れを相手の名刺の下に敷きます。
複数の名刺をいただいている場合は、一番役職の高い人の名刺を自分の名刺入れの上に置き、その他の方の名刺はテーブルに並べましょう。
その際、自分から見た向きで相手の席順通りに並べると、名前が覚えやすくなります。
また、相手の名刺を大切にしているという相手への敬意のアピールにもなります。
テーブル上が書類等で名刺を置くスペースがない場合は、「失礼します」と一言添えてから名刺入れに仕舞います。
いただいた名刺を自分の名刺入れに入れるタイミング
名刺をしまうタイミングには明確な答えはありません。
打ち合わせ等が終了したタイミングや、相手が名刺を仕舞い出したタイミングに一緒にしまうようにすれば失礼になりません。
立ち話のみで名刺交換が終わる場合も同様に、話が終わって別れ際まで相手の名刺はしまいません。
相手の動作に気を配り、臨機応変に対応しましょう。
そして、名刺のしまい方にも気をつけます。
必ずそのまま裸でしまわず、名刺入れに丁寧にしまいます。
続いては良い印象を残す名刺交換のコツについて説明していきます。