ビジネスパーソンにとって、ビジネス文書作成は身につけておくべきスキルの1つです。その一方で、新入社員の方をはじめとして、「正しいビジネス文書の書き方がわからない」と課題を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、こちらの記事では、ビジネス文書の書き方の基本を解説します。ビジネス文書の種類から書き方のポイントまで押さえ、適切なビジネス文書を作成できるようにしていきましょう。
ビジネス文書とは
ビジネス文書とは、ビジネスにおける情報や意思の伝達・確認を目的に作成される文書のことです。ビジネス文書は、自身が文書を作成して「誰に」「何を」伝えたいかに応じて、書き方が異なります。
ビジネス文書作成前に、自身が文書を作成する目的と、どのような手段で内容を伝えるべきなのかを確認しておきましょう。
ビジネス文書の目的
ビジネス文書の目的は、社内用と社外用で異なります。目的の違いを理解していないと、正しいビジネス文書は書けません。詳細を見ていきましょう。
社内用
社内文書は、社内の人間に対して使われ、主に以下の4つの目的があります。
- 命令
- 報告
- 連絡
- 記録
社内文書は、迅速かつ効率的な情報の伝達が求められるため、挨拶や敬語の使用を必要最小限に抑えましょう。
社外用
社外文書は、社外の人間に対して使われ、主に以下の2つの目的があります。
- 取引
- 社交
社外文書は、取引先や社交を目的に作成され、社外の人と信頼関係を築くために活用できます。
信頼関係が築けると、仕事での成果に繋がります。社外文書では、相手に敬意を表し、社内文書以上に敬語やビジネスマナーに注意する必要があります。
基本的な種類
ビジネス文書は、目的ごとに種類が分けられます。社内文書と社外文書の種類は、以下の種類が挙げられます。
社内文書
- 命令:通達、指示書、提案書
- 報告:報告書、届出書
- 連絡:通知書、案内書
- 記録:議事録
社外文書
- 取引:依頼状、注文書、承諾状
- 社交:お礼状、お見舞い状、紹介状
それぞれのビジネス文書の種類ごとに、書き方や体裁が異なります。ビジネス文書を書く際は、それぞれのマナーにしたがって作成しましょう。
詳しい書き方については、「ビジネス文書の基本形式」にて後述します。
メールor文書で作成
ビジネス文書は、メールで作成する場合と紙文書で作成する場合があります。メールで作成すべき場合は、緊急性が高い場合やデータ量が多いケースです。一方、紙文書に適している場合は、重要度が高いパターンです。特に、役職名で発信する文書、捺印する文書、機密性が高い文書は、紙文書で作成する必要があります。
ビジネス文書の基本形式
ビジネス文書を作成する場合は、基本的なマナーをおさえましょう。特に、社内向けのビジネス文書では、本題に入る前に前文と呼ばれる頭語や挨拶文を書く必要があります。こちらでは、ビジネス文書における守るべきマナーについてご紹介します。
頭語と結語
ビジネス文書では、頭語と結語と呼ばれる慣用語を書く必要があります。慣用語とは、決まり文句や通用語という意味があり、特定の場面で用いられます。
慣用語である頭語は、「こんにちは」や「ごめんください」などの意味があり、「拝啓」や「拝呈」が該当します。結語は、別れの挨拶の意味があり、「敬具」や「敬白」が該当します。また、頭語は文書の冒頭、結語は文末に書く必要があります。書く位置を誤ると、マナー違反となるため、後述する例文を確認して、正しい位置に記載しましょう。
なお、社内文書を作成する際には、頭語と結語は必要ありません。社内文書では、迅速な情報伝達が優先であり、必要最低限の敬語で書きます。頭語や結語は、読む手間が発生してしまうため、省略するのが一般的です。
時候の挨拶文から本文
ビジネス文書では、本文に入る前に、時候の挨拶を書くのがマナーです。時候の挨拶とは、季節に応じた心情を表す挨拶文で、頭語の後に続きます。時候の挨拶として、代表的なのは「時下」であり、以下のように書きます。
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
「時下」は、1年を通じて使える挨拶ですが、時候の挨拶は季節によってさまざまな種類があります。例えば、1月であれば、「新月の候」、8月であれば「残暑の候」などで季節感を表します。
また、時候の挨拶分には、相手の繁栄を喜ぶ、もしくは安否を尋ねる挨拶が付随します。上述の例では、「ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」が、相手の繁栄を喜ぶ挨拶に該当します。
時候の挨拶、相手の繁栄を喜ぶ、もしくは安否を尋ねる挨拶も、社内文書では不要です。
結びの文章
結びの文章とは、本文を書いた後に、文章を締めくくるために書く文章です。結びの文章には、相手の健康や幸せを祈る挨拶もあれば、繁栄を喜ぶ挨拶など種類はさまざまです。以下は、結びの文書の例文です。
- 例1:まずは書中にてご挨拶申し上げます
- 例2:ますますのご発展をお祈り申し上げます
- 例3:時節柄くれぐれもご自愛くださいませ
結びの文章は、頭語や結語、時候の挨拶と同様に、社内文書では省略するのが一般的です。
ビジネス文書の書き方のポイント
ここからは、ビジネス文書を書く際のポイントをご紹介します。こちらでご紹介する書き方は、社内向け、社外向け問わず守る必要があります。
書き方のポイント
まずは、ビジネス文書の書き方のポイントをご紹介します。報告書やお詫び状など、どのビジネス文書を書く場合でも、以下の3点を意識しましょう。
- 宛名は正式名称で書く
- 結論は端的に最初に書く
- 事実と意見を区別して書く
では、それぞれのポイントについて詳しくご紹介します。