報連相は、報告・連絡・相談からなる、社会人のコミュニケーションの基本とされている要素の略です。
これらはそれぞれ、ビジネス上の目的があります。もちろん、本来の意味や目的を皆が理解できているなら管理職も苦労はないわけですが、一つここで目的・ビジネス上の意味の確認をしておきましょう。
報連相の目的とは
報告の目的
まず、報告は、上司に余計な管理コストをかけさせないことが目的です。管理職である上司は端的に言いますと給料が高いので、労働の時間単価コストが高い存在です。報告を的確に行えば、上司が動いて情報を取りに行うことや、整理をする手間がかかりません。
報告を社員全員が的確に行うことは、ひいて上司により生じる管理コストを会社全体で下げることにつながります。また、不祥事・事故といった上司が知りたくない・まずいことこそ、迅速に正しく対応するために早く報告し、将来生じる管理コストを下げるべきことになります。
連絡の目的
連絡は、ある仕事の関係者に情報を共有することが目的です。簡単な例でいうと、社外に訪問する予定は、情報共有をし、カレンダーに予定を入れるのが普通です。もしここで、情報共有=連絡がなかったら、他の予定が埋まってしまい、最悪訪問予定を設定しなおさないといけません。時間の無駄でもありますし、また社外の関係者に失礼でもあります。
相談の目的
相談は、判断に困ることについて、判断の基準や、どう判断すればよいかを上司・同僚に問いかけて聞くことです。前提として、相談者は職務管掌上、自分で判断するべきことについて相談をします。
これに対して、職務管掌の外の事項について相談するのはビジネス上の相談ではありません。外資系の会社は比較的職務管掌がかちっと決まっていますので、「職務管掌が理解できていない」という別の重大な問題になってしまいがちです。日系の会社ではそこまで厳しいとはいえないものの、雑談と相談はちがうので、目的を間違えないようにしたいものです。
いずれにしても、ビジネス上のコミュニケーションの基本要素であるという点では、報・連・相すべて共通しているわけです。
報連相は古い?注目の「かくれんぼう」とは
報連相の本来の意味を考えると、つい「だったらその通りすればよいではないか」と管理職の立場ですと思いがちですが、実際若手は苦戦していますし、管理職も定着に苦戦を強いられています。
問題解決のために、報連相ができないのであれば、報連相のスキルを上げさせる、そうでなければ報連相に変わるコミュニケーション手段を考える、という方向性・アプローチがあり得ますが、ここでは後者のアプローチの一つとして「かくれんぼう」をご紹介します。
「かくれんぼう」とは、確認・連絡・報告を略したもので、漢字で表現すると確・連・報となります。かくれんぼうが注目されるようになったのには背景として、報連相の「相談」の部分に問題点があるとされるからです。
職務管掌がはっきりしているとはいいがたい日本型のメンバーシップ型の雇用では、自分が相談できるところはどこなのか、判断できる人に早くボールを渡して、判断してもらったほうが良いのではないか、という考慮が働きにくい面があります。そこで「相談」を推奨すると、「相談して解決できれば仕事が進む」から転じて「相談して自分は考えない」でも済んでしまう危険性があります。
このことから、自律的人材が育成できない、という結果に至ることが弊害として考えられます。そのため、相談ではなく「確認」を推奨しよう、という理由から、報連相ではなく「かくれんぼう」にコミュニケーションの基本を修正するわけです。
「かくれんぼう」を根付かせるための上司の役割
報連相が結局は上司に判断させてしまい、上司に依存することを危険として含んでいること、管理職の方々は思い当たるところがあるのではないでしょうか。管理職の悩みでよくあるのが、報連相ができない部下の問題と同時に、自分で考えない部下の問題であることを考えると、この2点を同時に解決できそうな「かくれんぼう」は取り入れる価値がありそうです。
そこで、「かくれんぼう」の使い方、上司がどのように導入するか、さらに、どのように部下に実践させ、定着させるのか、そして、上司の支援の仕方はどうあるべきか、実践法が問題になります。