ビジネス文書の大原則は目的と読み手を明確にすること
ビジネス文書で重要なことは、文書作成の目的と読み手の明確化です。目的と読み手を明確にしないと、伝えるべき内容と伝える方法を決定することができません。
例えば、社内文書で企画書を作成する場合、その目的は「企画を実現する」ことです。この目的を達成するために、主張した理由や主張の根拠など、伝えるべき内容が明確になります。また、読み手が上司である場合は、上司が納得できる書き方にする必要があります。読み手を具体的にイメージすることで、どうすれば相手を納得させられるか、書き方を考えられるようになります。
社内文書、社外文書に関わらず、ビジネス文書を作成する際は、まずはその目的と読み手を明確にするようにしましょう。
ビジネス文書の基本書式
ビジネス文書の作成においては、基本書式のテンプレートを1つ用意しておき、目的に応じて言葉遣いやフォントを変更することで、効率的に文書を作成することができます。
ビジネス文書の基本書式は、以下の通りです。
そのほか、サイトや本などを参考に、ビジネス文書の基本書式を用意しておくことをおすすめします。
ビジネス文書の書き方のポイント
ここからは、実際にビジネス文書を書く際のポイントをご紹介します。ビジネス文書を作成する際は、以下の8点を意識しましょう。
- 正しい敬語を使う
- 5W3Hが基本
- 結論を最初に書く
- 一文は簡潔に書く
- 事実なのか意見なのかを区別する
- 必要な情報のみ書く
- 要件は1つに絞る
- 箇条書きを活用する
では、それぞれのポイントを詳しくご紹介します。
1.正しい敬語を使う
ポイント1点目は、正しい敬語を使うことです。ビジネス文書では、正しい敬語を使わないとマナー違反になります。特に、社外文書を作成する場合は敬語に注意しましょう。以下は、ビジネス文書で頻繁に使用される敬語一覧です。
言葉 | 自分に対して | 相手に対して |
人・会社 | 私・弊社 | 貴方様・御社 |
文書 | 書面・書中 | ご書面・貴書 |
意見・考え | 所存・所見 | ご意見・ご意向 |
受ける | いただく・頂戴する | お納めになる |
言う | 申し上げる | おっしゃる |
考える | 存ずる | お考えになる |
送る | お送りする | お送りになる |
2.ビジネス文書は5W3Hが基本
ポイント2点目は、5W3Hを使うことです。文書を作成する際、5W1Hが基本と言われています。ビジネス文書においては、さらに2Hを意識することで、より正確で詳細な文書を作成することができます。5W3Hは、以下の通りです。
- When:いつ
- Where:どこで
- Who:誰が
- What:何を
- Why:なぜ
- How:どのように
- How much:いくら
- How many:いくつ
例えば、クレームに関するビジネス文書を書く場合の5W3Hは、以下の通りになります。
- When:2019年5月1日
- Where:3F会議室
- Who:クライアントのA株式会社
- What:2019年に販売した新商品のコピー機
- Why:新商品の不備
- How:購入後1週間で故障
- How much:5万円
- How many:1機
このように、数量と金額を提示することで、情報の漏れがなく、より正確なビジネス文書を書くことができます。
3.ビジネス文書は結論を最初に書く
ポイント3点目は、結論を最初に書くことです。なぜなら、結論を最初に述べることで、迅速に情報の伝達ができるからです。
ビジネスパーソンは迅速な行動や対応が求められます。そのため、一文を読んで結論がわかるビジネス文書であれば、その分ビジネスパーソンは素早く実行に移すことができます。しかし、最後まで読まなければ結論がわからないビジネス文書は、読むことに手間がかかり、迅速な行動を取ることができません。
4.一文は簡潔に書く
ポイント4点目は、一文を簡潔に書くことです。長々とした文章は、読みにくく感じさせます。実際に読み比べてみましょう。
例1:ある教授は、社会保障費の増加に関して少子高齢化が原因であり、今後も増加する見込みだと考え、早急な対策が必要のため、その対策として消費税の増税を提案しています。
例2:ある教授は、社会保障費の増加に関して少子高齢化が原因であり、今後も増加する見込みだと考えています。そのため、早急な対策案として、消費税の増税を提案しています。
例1は一文に多くの情報を盛り込んでおり、非常に読みにくい文章となっています。一方、例2は2文に分けられており、それぞれ簡潔にまとめられています。そのため、例2の方が読み手に読みやすい文章となっています。
5.事実なのか意見なのかを区別する
ポイント5点目は、事実と意見の区別です。事実と意見が区別されていないと、信ぴょう性の低い文章となってしまいます。実際に読み比べてみましょう。
例1:A商品は、2,000円という安さが理由で人気があると考えられます。
例2:他商品が5,000〜6,000円で販売している中、A商品は2,000円に価格が設定されています。このようにA商品が安いため、人気があると考えられます。
例1では「A商品が安い」と事実のように述べていますが、読み手にとってはそれが事実なのか判断できません。もし、「A商品が安い」ことが事実なのであれば、その証拠を述べるようにしましょう。
6.必要な情報のみ書く
ポイント6点目は、必要な情報のみ書くことです。読み手にとって意味のない情報を述べると、読み手はどの情報が本当に必要なのかわからず、混乱を招く恐れがあります。
不要な情報を書く原因として、目的と読み手の明確化ができていないことが考えられます。上述のように、目的と読み手を明確にすることで、必要な内容を決定することができます。ビジネス文書を書く際は、必ず目的と読み手を明確にしましょう。
7.要件は1つに絞る
ポイント7点目は、要件を1つに絞ることです。1つのビジネス文書に複数の要件を入れてしまうと、どの案件が重要であるかわからなくなってしまいます。1文書1要件と決めておくことで、読み飛ばされることがなく、文書の管理もしやすくなります。
8.箇条書きを活用する
ポイント8点目は、箇条書きの活用です。特に、日時や開催地などを記載する文書は、箇条書きでまとめましょう。以下は、箇条書きの例文です。
記念パーティを、下記の通り実施します。
記
1.日時 :令和〇〇年〇〇月〇〇日
17:00〜22:00
2.会場 :〇〇ビル4階ホール
3.持ち物 :招待状を持参
テンプレートやソフトを有効活用
ビジネス文書を作成する際、テンプレートやソフトを活用するとを効率的に作成できます。たとえば、オフィスがインストールされたパソコンでは、ワードを立ち上げた際に、「ビジネス文書」のテンプレートを選択することができます。また、インターネットで無料でテンプレートをダウンロードすることも可能です。
レイアウトを一から考える必要がないため、書類作成にかかる時間を削減できます。
文書作成の基本を理解して正しいビジネス文書作成に活かしましょう
文書作成の基本とビジネス文書の作成方法をご紹介しました。ワードで文書を作成する場合、本文を入力する前に、用紙サイズや余白、日付やタイトルなどを入力しましょう。入力する順番を決めておくことで、ミスを防ぐことができます。
次に、本文を入力する際は、長文にならないように意識することで、読みやすい文書を作成できます。特にビジネス文書は、敬語やビジネスマナーにも注意しましょう。
そして、本文を入力した後は、読みやすいように体裁を整えましょう。文書の読みやすさは、書き方だけでなく、体裁も影響します。書き終わった後に、全体を見直し、読みにくい部分がないか確認しましょう。